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2018年6月 5日 (火)

フロリダ・プロジェクト

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ヒューマントラストシネマ渋谷で「フロリダプロジェクト 真夏の魔法」を観てきました。せっかく新宿バルトで夜映画を観るのだから、昼にもう一本観ておかないと終わっちゃうと思いこちらにやってきましたが、この後私を待ち受ける山手線の帰宅ラッシュの中で私の顔にポニーテールがしばらく突き刺さったままになることなど夢にも思わないのであった。

フロリダ州にあるマジックキャッスルというモーテルに暮らすムーニーは6歳。母親のヘイリーは近隣のディズニーランドに来る観光客などに香水を売り歩いて生計を立て、食べ物は同じモーテルに住む友人が勤めるワッフルショップのおすそ分けや救世軍の施しなどで賄っていた。ある事件からワッフルのおすそ分けを受けられなくなり困窮したヘイリーは自分の部屋でできる「商売」を思いつくが…

ウィレム・デフォーがいい人役で出ててビックリした…って失礼な。観ているこちらはこの善良なモーテル管理人の存在にホッとするのですが、彼だって起こる問題の全てー特に経済的なーには当然対応出来ない。優しいだけでは他人の口は賄えないのだ。その口惜しさを彼は口にはしないが、私たちにもじりじりした感じは伝わってくる。そしていつのまにか、私たちは彼の視点で子供たちを見ていることに気が付くのです。

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一方で主人公ムーニーの暮らす世界は美しくカラフルな魅力に満ちていて、私たち大人から見るとそれはけばけばしかったり安っぽかったりするのだが、視線が低く撮られている画面は幼い子供の視点から見る世界だとすぐに理解できる。また、大人の私たちからすればとても荒んだ生活であっても、若くて綺麗な母ヘイリーとの生活はひたすら楽しく、児童福祉局の職員から見るムーニーの状況とのギャップはわかりやすいのです。社会の最底辺に暮らすムーニー親子は貧しくとも楽しいものですが、またその貧しさから脱却しようにも貧困ゆえに就職できないという負のスパイラルが厳然と存在しているのです。

しかし貧困の中においてもムーニーの世界が美しいのは、母ヘイリーが自分を愛して可愛がってくれていて、優しいその他の大人が見守ってくれているから。その世界が色を失う時、それは皮肉にも「好ましくない状況にある子供を保護するために他の場所に子供を移す」時…。

それまでムーニーは…というかカメラは、ムーニーの周りで起こっていることについて「見えないこと」のようにふるまっていきます。今まではお風呂にママと入っていたのに、ひとりで入ってるのは何故?急に金回りがよくなったのは何故?と問いかけることはムーニーはしませんからね。

不思議なことに、私はヘイリーがやってることが悪事だと知っているのに、応援することをやめることはできませんでした…子供を虐待する親より、子供を愛する人の方がまともだと思うことをやめられないから。たとえ子供が育つのに劣悪な環境だろうが、子供にとって愛されるという以上にすばらしいことがあるんだろうか?

子供を保護するよりも、もっと何か根本的にできることって何だろう。この「路上生活者よりはマシだけどかなり厳しい」人たちの生活が今よりもずっと良くなる方法は、単に政府のやるべきことと丸投げするのではなくて、私たちみんなの宝物・子供の将来がかかった重要な案件として、自分たちで考えることが重要だ。

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