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2010年8月12日 (木)

フェアウェル さらば哀しみのスパイ

336749view001 渋谷シネマライズで「フェアウェル さらば哀しみのスパイ」を観てきました。すごいクラシカルな邦題だなあとは思いましたが、「フェアウェル」がさらば、とかあばよなんですね。なるほど。

この映画は「フェアウェル事件」を基にしています。1980年代、ソ連KGBの大佐・グリゴリエフ(エミール・クストリッツァ)は祖国の行く末に絶望感を抱き、フランスに情報を流すことでソ連を内側から崩壊させようとしていた。成り行きで大佐との連絡役になってしまったフランス人電気技師ピエール(ギョーム・カネ)は迷惑にさえ感じていたが、その情報の重要さや大佐自身に徐々に魅かれはじめスパイ活動を続けていくことになるのだが・・・

高校の修学旅行中、夕食後に部屋でテレビを見ていたら、ブレジネフ死去のニュースが流れてきました。その時くらいの話かな・・・と思うと、ちょっと感慨深い。「あのまゆげのぶっといオッサン?」「西郷どんに似てるよね」てな話をしたっけな。平和な女子高生だ。

336749view010 ソ連が西側に送り込んでいるスパイを一網打尽にするという、とても事実とは思えない話です。そして、ハリウッドが作るとたぶんハリソン・フォードとかマット・デイモンとか使うんだろうな~、さぞうそ臭い話になるだろうな~とか。しかし、この映画は大佐役のクリストリッツァの存在感なくしては成り立たない。闇から聞こえる彼の声・・・このオトコがタダモノではないというのが声でわかるなんて・・・!彼の行動の原点が安っぽいヒロイズムなんかではなく、深い正義感からくるものだということを感じさせてくれます。そして、ピエール役のギョーム・カネの細やかな演技。本当に巻き込まれた普通の人にしか見えないよ。かといってドキュメンタリータッチではなくて、サスペンスドラマとして味わえる映画になったのはやはり監督の力でしょうか。

大佐が情報のみかえりに大金ではなくソニーのウォークマンとクイーンのテープを息子のために要求するのですが、このクイーンの「ロック・ユー」が効いています。文字通り体制をぶちこわして世界を変えるんですからね。別荘の森で静かに過ごす大佐夫婦・・・息子はウォークマンでロック・ユーを聴きながら拳を振り上げクチパクで、しかし大声で歌う。そこには現体制の中で暮らす人々と、それをぶちこわそうとしているパワーを感じるソ連という国の矛盾がうまく現されていました。

この映画は2人とフランスだけではなく、ミッテラン大統領のレーガン大統領に対する情報の提供、CIAの冷徹さ、ソ連の崩壊への序曲などインテリジェンスが生み出す大きな渦を次々と見せてくれます。勉強になるなあ~・・・。先日の「オーケストラ!」でもフランスが重要な役回りだったし、もし佐藤優さんに会う機会があったら、ソ連(またはロシア)とフランスの政治的結びつきについてお話を聞かせていただきたいもんだなあ、と昼ごはんを食べながらぼんやり思ったりした作品でした。

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